按針亭
詩吟への誘い
新設 : 2012-07-11
更新 : 2016-03-18
詩吟資料室
吟法と吟調

本ページは、2012年4月、 (公社)日本詩吟学院が所属会員に配付した 「吟道奥義抄」のうち
「吟法」と「吟調」の項を、按針亭管理人が箇条書的に要約・整理し、若干の注を加えたもので
文責は按針亭管理人にあります。
(公社)日本詩吟学院のWebサイトから、「吟道奥義抄」を 繰り返しご覧下さい。


ここでいう          
吟法 とは

①(公社)日本詩吟学院が、
②将来にわたって変わることがなく、
③継承されていくべきものとして、
④取り決めた 「吟詠」上の規則のこと。
「不易流行」の
「不易」にあたる。
「不易流行」は、俳聖芭蕉の芸術理念の一つ。

ここでいう          
吟調 とは

①吟詠の調子・音色を整えて、趣(おもむき)を出すこと。
②時代や流行で変わるもの。
③個人差があり、統一することができない(統一すべきでない)もの。
④十人十色、百人百様で、これにより多様な芸術性・精神性を表現する。
「不易流行」の
「流行」にあたる。
「不易流行」は、俳聖芭蕉の芸術理念の一つ。

吟法        ~漢詩絶句を例にして~本文


吟じ始めるときの
呼吸の要領
①先ず、十分に息を吸い込む。
 (但し、深呼吸は息を吐き出すことから始まる。)
②直ぐに、吐き出すことをしないで、しばらく、息を止める。
③次に、息を飲み込むようにして、腹の中に落ち着かせる。
④息を飲み込んだまま、腹を出し、臍を下げるようにする。
⑤自然、飲み込んだばかりの息が、腹になじんで安定した気分になる。
⑥そして、肛門を締め上げるように、尻をつぼめることによって、
⑦吸い込んだ息を、上から押さえつけ、下から締め上げるところに、
⑧吸い込んだ息の力が発生する。
  
「吟じ起こし」手順
①腹式呼吸による深呼吸の後、
②吟題・作者を唱え、
③息を静かに大きく吸い、整えて(臍下丹田[せいかたんでん](※)に下ろして)から、
④呼気に(吐く息)に乗せて発声する(吟じ起こす)。
(※)臍下丹田は、臍下三寸(9㎝)辺り体内にある人体の重心で、特定臓器ではない
吟詠の呼吸は
腹式呼吸
吟詠の呼吸は「腹式呼吸」、正しい呼吸法か否かは、次の方法で確認できる。
 【正しい呼吸】…横から見て、腹が出たり、凹んだりする。
 【誤った呼吸】…前から見て、肩が上がったり、下がったりする。
  
「吟詠」の音位
①「吟じ起こし(吟じ出し)」の音位は主音+半音の(ファ)、止めの音位は主音(ミ)。
②「主音に始まって主音に終わる」といって差し支えない。
  → 「主音」および「基本旋律」を参照
③「邦楽」としての「吟詠」と「洋楽(西洋音楽)」とでは、音位が微妙に違う(※)。
④調子笛を使う時は、必ず邦楽用の調子笛を使うこと。
(※)自然律(純正律)と平均律(対数律)の違いを指すと思われる
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七言絶句の場合
①「二句三息」とは、起句・承句と転句・結句の各二句を一聯とし、
 各聯を三節ずつに分け、一節が終わる毎に息を吸うこと(息継ぎをすること)。
②一句を概ね2・2・3字に分解、一聯を2・2字、3・2字、2・3字に区切って
 「節」とする。
③四句を六息に分けて吟ずるよりも、四句を前の二句と後の二句との二聯に
 分けて吟ずる意義の方が重要である。
④承句の後の息継ぎは、他の息継ぎ箇所よりも長い間を置くことが肝要である。
⑤なお、素読は、一句一息とし、全体を四息で朗読する。
「二句三息」は、文節(吟節)の説明を主とする場合は、「二句三節」という
五言絶句の場合
①一句を概ね2・3字に分解、一聯を2字、3・2字、3字に区切って「節」とする。
②ただし、例外がある。
  
切ってもよい/
切ってはいけない
箇所
「息を切ってもよい箇所」は、詩の意味と読み方から判断する。
【切ってもよい箇所】
 ①切って読むことができる箇所
 ②主語と述語の間で、助詞の「は」または「が」等が省略された箇所の多く
 ③副詞は、それ自体切り離して強調する場合
 ④七言が2・2・3字に明瞭に切れる場合、その切れ目箇所の多く
【切ってはいけない箇所】
 ①熟語の途中、名詞・動詞に連なる助詞の間
 ②修飾する詞(ことば)と修飾される詞、目的語・補語と動詞の間
  
歯切れのよい
明瞭な
発音
①明瞭な発音と適切な句読によって、詩意が明確に伝わる。
②発音が明瞭とは、歯切れがいいということ。
③明瞭な発音が、吟詠の必須条件。
④口の開き方が足りないと、言葉が濁り、何を吟じているのかよく分からない。
⑤口を喇叭にたとえると、声帯は喇叭の基部にある発声器で発した弱い音を、
 大きな音にして響かせる拡声器の役割を持つ。
⑥日本語の母音は、「ア・イ・ウ・エ・オ」の5つと、「ン」の6つだけ。
  
望ましい発声
①発声は、臍下丹田(※)から発し、明瞭快活で力強い自然な声が望ましい。
②気魄は雄渾で、荘厳な声が好ましい。
③ひとりひとりの持ち味を生かした 自然の声がよい。
④卑俗艶媚な声、鼻声、わざとらしい作り声は、好ましくない。
(※)臍下丹田は、臍下三寸(9㎝)辺り体内にある人体の重心で、特定臓器ではない
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熟語の読み方
①熟語を読むときは、熟語の途中を伸ばしてはいけない。
 (例) 去年(キョネーン)、詩編(シヘーン)など。
②特に、間延びに注意すること。
③また、極端に詰めるのを避けることが、大切である。
  
余韻の吟じ方
①押さえはしっかりとする。
②消え入る(抜ける)ような引き方、止め方をしてはいけない。
③引き止め、揺り止め、上げ止め、下げ止め
  
吟詠の主音
①吟調の基本となるべき音位を、基音または主音と呼んでいる。
②吟詠の旋律には、必ず主音にかえる鉄則がある。
③たとえ、どんな節回しでも、最後は必ず主音に戻すことが必須。
「吟調」は、次の「基本的な旋律」と「不易流行」の流行としての「吟調」を参照下さい。
吟調と基音
①吟詠の旋律に、基本的な調子、即ち、「吟調」がある。
②吟調の基本となる音は、八つあり、この八音を大別すると、次の三つになる。
 【高音部】 ド・シ・ラ……【基音】 ラ
 【平音部】 ファ・ミ………【基音】 ミ
 【低音部】 ド・シ・ラ……【基音】 シ
③三つの基音の何れか一つが、二句三息による切りの音位
 (一節の吟じ終わりの音位)となる。ただし、基音以外で終わる例外がある。
「不易流行」の流行としての「吟調」を参照下さい。
吟調と吟符
①吟符は、吟調の基本を示したもので、西洋音楽のような楽譜を必要としない。
②吟符は、示し得る最大限の音位を示し、最小限度の基本音位をもって
 基調を踏み外さないようにする最大公約数といえる。
③吟符をもって、西洋音楽の楽譜のように綿密に決めることは、
 吟詠の主観と個性を狭めるもので、吟詠自体をつまらないものにしてしまう。
「吟符」は、「吟符名称と解説」 を参照下さい。

七言絶句の場合
①七言絶句は、吟題、作者を除いた本文のみで、1分30秒±10秒とする。
②この「1分30秒±10秒」は、二句三息の呼吸に叶った時間といえる。
「一息」を、約15秒として捉える。
五言絶句の場合
一般的に、七言絶句の場合よりも短くなる。
七言絶句の吟詠時間から推究する。
律詩・長詩の場合
①律詩は、絶句二首分だからといって、絶句の2倍では冗漫となる。
②長詩は、絶句吟詠時間の句数倍では、尚更、冗漫となる。
七言絶句の吟詠時間から推究する。
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吟調

  
  
  
  
  

アクセントの重要性
①アクセントは、言葉の意味を正しく伝えるために必要。
②アクセントは、世の移り変わりによって変化する。
  
日本語のアクセント
日本語のアクセントは、単語の高低のことであって、次の四つに区分される
 頭高型…<例> 「朝」さ ………下線部分「あ」にアクセントがある
 尾高型…<例> 「山」や ………下線部分「ま」にアクセントがある
 中高型…<例> 「湖」みずうみ …下線部分「ずう」にアクセントがある
 平板型…<例> 「兎」うさぎ ……下線部分「さぎ」にアクセントがある
英語のアクセントは単語の強弱
フランス語のアクセントは抑揚
イントネーションとは
①文章に高低をつけることによって、文章の意味を表現することを、
 抑揚(イントネーション)と呼ぶ。
②イントネーションは、文章を美しくするため、また、感情表現において、
 ある部分を際立たせるために生まれたもの。
  
イントネーションの
必要性と種類
①美しい吟調には、美しいイントネーションが必要。
②意味の上から強調すべき語句に、イントネーションをつける。
③イントネーションは、次の二つに大別される。
 揚音……高く強い調子
 抑音……低く弱い調子
 その程度と組み合わせによって千差万別となる。
④イントネーションの高低と、アクセントの高低を、取り違えないよう、注意する。
  
「間」の重要性
①「間」の置き方は、極めて大切。
②その置き方によって、吟詠全体が生きもし、死にもする。
③適切な「間」が聴く者に与える効果は、巧みな節回しも遠く及ばない。
④声を出しているときだけが、吟詠ではない。
⑤声を出していないときも、吟詠であって、休みではない。
⑥「間」は、長すぎても短すぎてもいけない。
  
「間」の修得法
①ある箇所での最も適切な「間」は、一つしかない、瞬間的なもの。
②無意識のうちに、最も適切な「間」が取れるよう、反復練習を行うこと。
  
残心とは
①「残心」とは、結句の余韻を引き終わり、呼吸を整えて吟じ終わりとすること。
②なお、吟ずる前後に一定の礼式がある。
  


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