詩吟資料室
詩吟の基礎資料
吟詠の修得 吟じ方について
新設:2012-07-11
更新:2023-09-24
本ページは 2012年4月 (公社)日本詩吟学院が所属会員に配付した 「吟道奥義抄」のうち 「吟詠の修得」の項を「調息(呼吸法)」の項を 按針亭管理人が箇条書的に要約・整理し 若干の注を加えたもので 文責は按針亭管理人にあります
(公社)日本詩吟学院のWebサイトから 「吟道奥義抄」を 繰り返しご覧下さい

なお 「吟道奥義抄」の「吟詠の修得」は 「木村岳風」(平成2年7月1日第6版発行)186ページに [「吟道」昭和17年1月号文中より] として 収載されている木村岳風著『吟じ方に就いて』と同等内容です

『詩経』の序に
詩は志の之く所 心に在るを志となし 言に発するを詩となす
情うちに動いて 而して言に形はる 故に之を永歌す
之を永歌して足らず 手の之を舞い 足の之を踏むを知らざるなり

とあるを読む時 吾人は いわゆる吟詠剣舞なるものの性格を知り 同時に詩は如何に之を吟ずるべきかということも 自ずから頷かれる


そこで 我々は吟詠を修得するに当たっては
  1. ①先ず 詩をよく知って 詩の心に感激・共鳴することを土台とする
  2. ②作詩者や詩中の人物となり 次の事項を学究的に深く掘り下げて味わう
    1)作詩者や詩中の人物の「業績・境遇」
    2)作詩者や詩中の人物が「生きた時代の動き」
    3)作詩当時の心境
  
  1. ①良い吟詠になるべく多く接し 吟詠独特の風格・持ち味をよく聴き取ること
  2. ②吟詠には 次の特長がある
    1)ヒシヒシと人の心髄にまで染みとおる強い気魄
    2)聴く者をして、思わず襟を正さしむる荘重高雅な気品
    3)壮烈鬼神をも泣かしめ、豪快雄偉、惰夫をして起たしむる気概
  
  1. ①声と節とを充分に練り鍛えることが必要
  2. ②立派な吟詠に接して その印象をたどりながら 節と声とを練り鍛える
  3. ③よく聞き取った調子は 必ず自分のものとなって出てくるもの
  4. ④声も節も 自然にして且つ洗練されたものにならなくてはいけない
  5. ⑤作為的であったり 単なる真似に甘んじてはいけない
  
  1. ①声と節とを忘れ去ること
  2. ②修養を積むに従って 声も節も意に介せず ひたすら詩の気分に浸りきって吟じられるようになる
  3. ③いわゆる形より入って 形を脱するところまで行かなければならない
  
  1. ①修練に当たっては
    1)姿勢を正し
    2)肉眼を閉じ 心眼を開いて
    3)呼吸を深く 喉のみ気張らず
    4)自由にして 丹田(※)の力を活用して吟ずること
(※)臍下丹田は 臍下三寸(9㎝)辺り体内にある人体の重心で 特定臓器ではない
  1. ①初心者は兎角細かい微妙な節回しに心を奪われ そこを真似しようとして 本末を誤る恐れがあるので注意しなければならない
  2. ②先ず 次の荒削りの骨組みだけを飲み込む
    1)音位の変化
    2)間合いの取り方
    3)余韻の引き方
  3. ③抑揚頓挫法に叶い 正しい発音で充分に声を張って練習を続ける
  4. ④先輩の立派な吟詠に接して 耳を肥やしていけば そのよい印象は自然に我が物となって表れ 所謂肉と味が備わってくる
  
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【『詩経』の詩序】
「漢詩大系第一巻『詩経上』 高田眞治著 集英社 昭和52年4月30日 第8版発行」 14頁 詩序の一部 を引用

原文
書き下し文
通釈
( )者志所之也。在心爲志、發( )爲詩。情動於中、而形於言。( )之不足、故嗟嘆之( )。嗟嘆之不足、( )故永歌之。永歌之不足。不( )手之舞之、足之蹈之也。( )
詩は志の()く所なり。心に在るを志と為し、言に發するを詩と()す。情、中に動きて、言に(あら)はる。之を言うて足らず、故に之を()(たん)す。之を()(たん)して足らず、故に之を永歌( )す。之を永歌して足らず、( )の之を舞ひ、足の之を踏むを知らず。( )
  
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